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都会で今を生きるということ『夜空はいつでも最高密度の青色だ』

2017/05/08

夜空はいつでも最高密度の青色だ

観た映画。『舟を編む』や『バンクーバーの朝日』などの石井裕也監督による最新作『夜空はいつでも最高密度の青色だ』。

詩人である最果タヒ(さいはてたひ)さんによる同タイトルの詩集を映画化したものです。この詩集は2016年5月にリトルモアより刊行されて以来、重版を重ねてゆき約27000部を発売。これは詩集としては異例の部数だそうです。

詩集の映画化ってあんまり聞き慣れないですが、予告編を見たときからなんだかソワソワして、胸が締めつけられるような、不思議な空気を感じていたこの映画。想像以上にじんわりと心の内に響く作品でした。

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東京という場所で生きるということ

喧騒にまみれた現代の東京で生きる人たちのラブストーリー。

看護師として病院で働く側ら、夜はガールズバーでアルバイトをしている美香(石橋静河)。病院で多くの死と、それを悲しむ家族や友人を見てきた彼女は、「死」に対して冷ややかな視線を送っているのに、じつは過剰なほど「死」への不安を感じている。一方、建設現場の日雇いで生活をする慎二は左目がほとんど見えない。常になにか「嫌な予感」を感じながら、右目でしか見えない世界を生きている。

ある男女が出会い、恋に落ち、抱き合い、キスをする。そんなラブストーリーとは程遠く、不穏な空気のなかで美香と慎二が出会い、別れ、人が死に、またふたりが出会う。静まることのない都会で生きる人たちがきっとどこかで抱えている不安な気持ちや孤独を、ふたりの男女を通じて、じつに詩的に描いている作品だと思います。少しぶっきらぼうな彼らの物言いがものすごく詩的であり、時々に美香が放つ詩の一節がダイレクトに胸に刺さる。気持ちくどい演出が、それをさらに助長していて痛々しくもあるのです。

最高密度の青色をした都会の夜空の下で、日本に出稼ぎに来ているフィリピン人も、コンビニの店員に一目惚れしてしまった中年男性も、「がんばれ」と歌い叫ぶ売れなさそうなストリートミュージシャンも、必死に今を生きて、失望と希望の両方を東京という地で見つけていくのでしょう。

この映画、東京に不信感を抱いている人たちには正面から突き刺さる作品かもしれません。今を問いかけている映画だと思います。

2017年5月13日より全国公開。

作品情報

【監督】石井裕也(『舟を編む』など)
【キャスト】池松壮亮、石橋静河、松田龍平、田中哲司、市川実日子、ポール・マグサリン、ほか
【原作】最果タヒ「夜空はいつでも最高密度の青色だ
【製作年】2017年【製作国】日本
【上映時間】108分【配給】東京テアトル、リトルモア
【公式サイト】http://www.yozora-movie.com

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